臨床精神医学第51巻第9号
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- 特集/精神科臨床と不安
- 発行日:2022年09月28日
- <企画趣旨>
不安は生物が生きていくうえで最も根源的な原始反応の一つである。それゆえ正常と異常の境界は曖昧である。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックは私たちに公衆衛生上の脅威のみならず経済活動を含む社会構造そのものに多大なインパクトを与えた。人としての価値観や対人関係性の変化といった人間社会の基盤を根底から揺さぶり,世界中のすべての人に生きていくうえでの不安を惹起した。精神疾患を有する患者にとっても同様である。一方で疾患によってパンデミックによる影響の仕様は違うという報告もある。本特集ではさまざまな精神疾患における不安症状を心理学的,生物学的観点から展望したい。
詳細
<目次>
日本社会にはびこる二つの孤立不安 (早稲田大学)石田 光規
不安の生物学的機序 (北海道医療大学)泉 剛
新型コロナウイルス感染症に関連する不安や恐怖 (筑波大学)翠川 晴彦・他
災害における不安とその対処 (東北大学)濱家 由美子・他
精神分析における不安をめぐる一考察 (上智大学)吾妻 壮
正常な不安と不安症の境界 (兵庫医科大学)山田 恒
強迫症と不安─強迫症はなぜ不安症から独立したのか─ (兵庫医科大学)松永 寿人
抑うつと不安 (横浜市立大学)浅見 剛・他
統合失調症における不安 (東邦大学)片桐 直之・他
双極性障害における不安 (防衛医科大学校)戸田 裕之
認知症における不安 (大阪大学)末廣 聖・他
発達障害における不安 (国立国際医療研究センター国府台病院)黒河内 敏成・他
物質使用障害と不安 (久里浜医療センター)伊東 寛哲・他
不安と自殺・自傷─特に遺伝学的知見の観点から─ (神戸大学)大塚 郁夫・他
がん患者の不安 (名古屋市立大学)明智 龍男
シリーズ/精神科医に知ってもらいたい医学生物学の先端技術
オプトジェネティクスと精神医学への応用 伊庭 知里・他
私のクリニカルクエスチョン
双極性障害多発家系で反復性うつ病を呈する例における治療選択について 加藤 忠史