臨床精神医学第51巻第9号

不安の生物学的機序

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  • 泉 剛(北海道医療大学)
  • 発行日:2022年09月28日
  • 〈抄録〉
    不安は正常な情動機能であるが,過剰な不安は「不安症」として医学的治療の対象となる。現在,SSRIが不安症の第一選択薬である。現在までの研究から,SSRIの抗不安作用は扁桃体の5-HT1Aおよび5-HT2A受容体を介している可能性が高い。新しい機序の抗不安薬としてagomelatineとプレガバリンがあり,前者の作用機序は5-HT2C受容体遮断作用であり,後者は高電位活性化型Ca2+チャネル阻害によるグルタミン酸の遊離低下であると考えられる。不安症の脳機能画像では,扁桃体,島および帯状回皮質の活性亢進が示されている。また,不安症に対するゲノムワイド関連解析など分子レベルの網羅的解析が行われ,知見が集積されつつある。動物実験による不安・恐怖に関連する脳内神経回路(fear network)の解明も進んでいる。Fear networkの中心的構造は扁桃体であるが,扁桃体のGABA作動性ニューロンがサブタイプによって異なる役割を果たしていることが,光遺伝学などの新しい手法を用いた研究により示されている。

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Biological mechanism of anxiety
泉 剛*1,2
*1北海道医療大学薬学部臨床薬理毒理学
*2北海道医療大学先端研究推進センター