臨床精神医学第50巻第8号
がん疼痛緩和とケミカルコーピング
電子書籍のみ
- 佐伯 吉規・他(がん研有明病院)
- 発行日:2021年08月28日
- 〈抄録〉
2015年頃,わが国で「ケミカルコーピング」という用語が緩和領域で話題となった。要するに処方されたオピオイドを鎮痛以外~心理的不安の解消など~に用いることであるが,この誤った使用についてあえて本用語が米国でつくられた経緯にはオピオイドの過剰処方や他者への譲渡といった杜撰な管理,アルコールや違法薬物との併用といったオピオイド問題が背景にあり,そのようなオピオイドの不適切な使用ががん患者でも生じていることが明らかになったことが関係している。そのため,米国ではこのような行為を行う患者に対して,オピオイド以外のストレスコーピングを身につける試みがなされている。本稿ではがん性疼痛に対する鎮痛薬の使い方について概要を述べるとともに,ケミカルコーピングの概念について,米国のオピオイド禍を織り交ぜながら詳述することとする。
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Cancer pain relief and chemical coping
佐伯 吉規 川原 玲子
がん研有明病院緩和治療科