臨床精神医学第50巻第6号

自殺予防の戦略と精神医学の役割

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  • 河西 千秋(札幌医科大学)
  • 発行日:2021年06月28日
  • 〈抄録〉
    COVID-19感染拡大下で,自殺死亡者数が増加している。自殺死亡者のほとんどが,最終的には精神疾患に罹患していることが知られており,精神科医療者の果たすべき役割があることは自明である。実際,日本では,自殺対策基本法の成立と自殺総合対策大綱の公表により,自殺対策における精神保健,ないしは精神科医療の役割が示されている。一方で,医療現場における自殺予防医療の不作為は,訴訟の対象となる可能性もある。自殺予防方略の概念としては,まず自殺のリスク因子の把握が重要であり,さらに,日本では,主に1,2,3次予防概念に基づき,そして,世界保健機関の提唱により,欧州では全体的予防介入と選択的予防介入,個別的な予防介入戦略の概念に基づき自殺対策が進められている。1次予防には,大綱に基づき市区町村に義務化された自殺対策行動計画の策定や実施に際しての協力が求められる。2 次予防は,精神医療そのものが自殺予防であり,近年は,科学的根拠に基づく自殺未遂者医療も確立された。3次予防としては,自殺で遺された当事者への対応が求められ,当事者としては自殺事故で遺された医療スタッフへのケアの重要性も認識されるようになった。感染拡大下のメンタルへルス問題をふまえ,精神科医療者は自らや自らの組織による地域貢献や自殺対策への寄与について自覚をしたい。

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The strategy of suicide prevention and the roles of psychiatry
河西 千秋
札幌医科大学医学部神経精神医学講座