肝胆膵第79巻第3号
PhaseⅠb試験での免疫チェックポイント阻害剤と抗VEGF抗体・分子標的治療薬との併用試験のrationaleとこれまでの成績の総括
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- 工藤 正俊(近畿大学)
- 発行日:2019年09月28日
- 〈要旨〉
近年,PD-1/PD-L1抗体とさまざまな薬剤のコンビネーション免疫治療法の早期試験が進行中である.特に免疫チェックポイント阻害剤と抗VEGF抗体やVEGFに対する阻害活性をもつ分子標的治療薬との併用が注目を浴びている.これらの併用療法のrationalとしては癌の産生するVEGFがさまざまな腫瘍関連マクロファージ(TAM)やMDSC,Tregといった免疫抑制性因子をup regulateさせ,免疫微小環境が抑制的になっている状態を抗VEGF抗体や分子標的治療薬を用いることにより免疫微小環境を改善することからPD-1/PD-L1抗体とのシナジスティックな効果が期待できるとされている.これまでに発表された臨床試験ではアテゾリズマブとベバシズマブの結果がRECIST v1.1で27%であり,ペムブロリズマブとレンバチニブの併用がRECIST v1.1で50.3%とかなり高い効果が得られている.最近では,アベルマブとアキシチニブの効果もASCO 2019で発表され,RECIST v1.1で13.6%であった.現在,アテゾリズマブとベバシズマブの併用がIMbrave150試験としてphaseⅢが進行中である.また,ペムブロリズマブとレンバチニブの組み合わせもLEAP-002試験としてphaseⅢが進行中である.それらの結果が大いに期待されるところである.
詳細
Combination cancer immunotherapy with anti-VEGF/molecular targeted agents in hepatocellular carcinoma: rationale and updated results
工藤 正俊
近畿大学医学部消化器内科