肝胆膵第76巻第2号
DAA治療による肝発癌・再発抑制効果
電子書籍のみ
- 島上 哲朗,他(金沢大学)
- 発行日:2018年02月28日
- 〈要旨〉
C型慢性肝疾患に対するインターフェロン製剤によるウイルス駆除により肝発癌が抑制することは以前から報告されていた.直接作用型抗ウイルス薬(以下DAA)の登場により,95%以上と極めて高率にウイルス駆除が可能となった.しかしDAAによるウイルス駆除でも肝発癌抑制効果が認められるかどうかは,DAA導入後短期間でありいまだ明らかになっていないが,現在までの報告からは,DAAによるウイルス駆除はインターフェロン製剤によるウイルス駆除と同様に肝発癌を抑制すると考えられる.しかし,DAAは肝発癌の危険因子とされる高齢,肝硬変を含む肝線維化進展例に多く使用されるため,肝発癌の危険因子を個々の症例で評価して,ウイルス駆除後も肝発癌の危険因子に応じた肝発癌のスクリーニングが必要と考えられる.また根治的肝癌治療後のDAA治療の肝癌再発に与える影響に関しては相反する報告が存在するため,その適応に関しては現時点では慎重に考慮すべきと考えられる.
詳細
The impact of antiviral treatment with direct-acting antivirals on occurrence and recurrence of hepatocellular carcinoma
島上 哲朗1,2) 金子 周一2)
1)金沢大学附属病院地域医療教育センター
2)同 消化器内科