臨床精神医学第54巻第9号

ひきこもり支援における社会的視点の重要性

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  • 斎藤 環(筑波大学)
  • 発行日:2025年09月28日
  • 〈抄録〉
    かつては医療化の影響が大きかったひきこもり支援は,厚生労働省が2025年1月に公開した「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~」において,医療化と距離を置いた社会的支援の方向に大きく舵を切った。本ハンドブックは,支援対象者を定義によって限定せず,より包摂的な方針をとったこと,支援者の価値や倫理を強調したこと,支援の方向性として社会参加や就労ではなく「自律」としたことなど,に特徴がある。ひきこもりという社会的孤立状態に対して,問題解決よりもつながることを目指す「伴走型支援」の姿勢があり,属性を問わない支援や地域作りを目指す重層的支援の視点も取り入れられている。筆者はこうした社会的支援の姿勢を最大限に活かし得るものとして,オープンダイアローグの思想に依拠した「対話実践」を想定している。対話によって自律と主体化のプロセスを支援者と当事者が共有することから,診断のいかんを問わない支援の可能性が見えてくるであろう。

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The importance of social perspectives in the support of Hikikomori
斎藤 環*1,2
*1筑波大学名誉教授
*2医療法人社団八月会つくばダイアローグハウス