臨床精神医学第54巻第9号

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  • 特集/マクロから見る精神医学−社会が人のこころをどう癒すか
  • 発行日:2025年09月28日
  • <企画趣旨>
    コロナを経て、社会的状況が精神的に強く影響することが明らかになった。「このまま行ったら日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済大国が極東の一角に残るのであろう by 三島」→経済大国ですらなくなりつつあり、日本のアイデンティティは失われ、夢や希望を持ちにくく自己肯定感が低い若年世代。少子高齢化と人口減少・地方の衰退・経済の低迷など多くの課題がこれからの日本人のメンタルヘルスに強く影響していくと予測される。ミクロの視点からでは、これからの日本社会が明るくなっていく姿がイメージしにくく、マクロ的に俯瞰して見る必要がある。つまり、縦割りな社会、専門化が進んだ社会、多様性の浸透と共に分断が進んだ社会では、人の心を癒すことが難しいのではないか。分断より統合にこそ、これからの日本を豊かにするヒントが隠れていると考える。分野横断的に社会と人のこころの在り方について考察していく。社会とこころの豊かさ(ウェルビーイング)の観点から、それぞれの専門家に課題と解決への糸口について語っていただく。

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詳細

<目次>
社会的処方 (川崎市立井田病院)西 智弘
社会的レジリエンスを高めるために,私たちにできることは何か─日本で“最も” 自殺の少ない町からの学び─ (統計数理研究所医療健康データ科学研究センター)岡 檀
社会とこころの再統合に向けて─分断の時代におけるコミュニティナースの実践から考察する精神医学的課題と展望─ (株式会社CNC)三枝 春香
SNS との付き合い方,有効な活用方法 (早稲田メンタルクリニック)益田 裕介
AIと社会,メンタルヘルス─オンラインメンタルヘルスケアの可能性─ (国立精神・神経医療研究センター)竹田 和良
メタバースと社会,メンタルヘルス (横浜市立大学)石井 美緒・他
テクノロジーが変える精神科医療─VRデジタル療法とうつ病治療─ (株式会社BiPSEE)松村 雅代
人的資本経営とメンタルヘルス─心理的資本による多次元的アプローチ─ (神戸大学)上林 憲雄・他
教育・子育て 安定したこころを育むためには─子育てを社会で共創するための「WELL Community®」のデザイン─ (東北大学)細田 千尋
大きな物語が失われた日本における気分障害の処方箋 (もみじケ丘病院)芝 伸太郎
ひきこもり支援における社会的視点の重要性 (筑波大学)斎藤 環
児童・生徒の自殺問題─医療現場と学校現場の視点から─ (札幌医科大学)仲野 芳恵・他
社会モデルと医学モデルの折り合いをどのようにつけるか? (京都大学)村井 俊哉
子どものこころの発達と社会─摂食障害の低年齢化と臨床像の変化から考える─ (なにわ生野病院)木村 記子・他
日本のメンタルヘルス─世界との比較─ (UT Health San Antonio)谷藤 貴紀・他
研究報告
緩和ケアにおけるスピリチュアルペインとデモラリゼーション 中川 東夫
短報
レボチロキシンによる医原性甲状腺機能亢進症によりせん妄を呈した慢性甲状腺炎の1症例 武田 隆綱