臨床精神医学第54巻第4号
過敏性腸症候群と精神疾患
電子書籍のみ

- 尾城 啓輔・他(慶應義塾大学)
- 発行日:2025年04月28日
- 〈抄録〉
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は,慢性的な腹痛と排便習慣の変化を特徴とする疾患である。腸管に器質的異常を認めない機能性消化管疾患であり,患者のQOLを低下させる。IBSは器質的疾患を除外したうえでRomeⅣ基準により診断されるが,診断基準に満たない場合も機能性胃腸症として適切に対応することが望ましい。病態生理として,ストレスへの反応や腸脳相関,神経伝達物質,腸内細菌など種々のメカニズムについて知見が集積されている。治療には,生活習慣や食事指導,下痢や便秘などの臨床症状をターゲットとしたものから,プロバイオティクスや内臓知覚など病態生理に対応したものまで段階的に推奨されており,難治例に対しては心理療法も提案されている。エビデンスに基づいた科学的な治療を提供することで,患者のQOLを向上させることが可能である。
詳細
Irritable bowel syndrome and psychiatric disorders
尾城 啓輔 中本 伸宏 金井 隆典
慶應義塾大学消化器内科