臨床精神医学第52巻第9号
レビー小体病における治療薬の開発状況
電子書籍のみ
- 千葉 悠平・他(横浜舞岡病院)
- 発行日:2023年09月28日
- 〈抄録〉
レビー小体は,α-シヌクレインから構成される病理学的な異常蓄積蛋白による構造物である。レビー小体病(Lewy body disease:LBD)として,パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD),パーキンソン病による認知症(PD with dementia),レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies),多系統萎縮症(multiple system atrophy)があり,シヌクレイノパチーと呼ばれている。現在臨床で利用されている治療薬は,症候治療薬(Symptomatic treatments)であり,レビー病理による神経機能の低下に対して,神経伝達物質の補充や分解阻害,受容体を刺激することで,臨床症状の改善を目的としている。一方で,近年注目されている疾患修飾薬(Disease modifying treatments)は,LBDの病態の中心であるα -シヌクレインに対して脳への沈着を阻害,または,除去することで,病態そのものを改善することを目的としている。本稿では,認知症診療に関係するLBDの治療薬の開発状況について,疾患修飾薬,症候治療薬などについて概説した。
詳細
Current development of therapeutic agents for Lewy body disease
千葉 悠平* 1,2,3 藤城 弘樹* 4
*1積愛会横浜舞岡病院
*2横浜市立大学医学部精神医学教室
*3 YUAD®
*4名古屋大学医学部精神医学教室