臨床精神医学第51巻第6号
物質依存症のゴールにつながる評価法
電子書籍のみ
- 河本 泰信(よしの病院)
- 発行日:2022年06月28日
- 〈抄録〉
物質依存症の治療目標(ゴール)の評価方法に関して,アルコール依存症を例にして解説した。ICD-10等を利用して「依存症」と診断された場合,短期的にも中長期的にもゴールとしては断酒が原則である。しかし断酒継続率は3割程度と低いため,ゴールの選択肢が断酒のみでは治療動機の維持が困難である。それゆえ,断酒に代わる短期的なゴールの実現可能性とそれに相応した評価ツールを紹介した。「減酒」は非代償性肝硬変などの飲酒に伴うリスクが高い場合を除外したうえで,AUDITや「飲酒コントロール障害評価表」を利用して評価する。同様に,「中核病理(両価性)の洞察」は「飲酒に関する両価性評価表」,「代替行動による期待感の充足」および「価値観の相対化」は「飲酒に関する期待感と価値観の評価表」をそれぞれ利用する。これらの評価ツールは各ゴールの達成度の評価目的でも利用できる。一方,ゴールの達成が困難な場合,回復阻害因子の評価を要する。
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Evaluation method for selecting therapeutic goals in substance use disorder
河本 泰信
よしの病院