臨床精神医学第50巻第12号
大うつ病性障害の認知機能障害に対する認知機能改善療法
電子書籍のみ
- 豊巻 敦人・他(北海道大学)
- 発行日:2021年12月28日
- 〈抄録〉
精神疾患では幅広く認知機能障害がみられる。大うつ病性障害においても認知機能障害はみられ,近年のメタ解析や筆者らの検討からは,精神症状が改善した後の寛解期でもさまざまな認知領域について低下することが示されている。認知機能障害は抑うつ症状がある状態でも,寛解した状態においても就労能力の低下に寄与する重要な要因であることが示されている。認知機能障害へのリハビリテーション的介入である認知機能改善療法は,統合失調症を対象に導入され,現在では多くの精神疾患で実施されるようになった。大うつ病性障害を対象としたメタ解析では,認知機能障害を中等度改善させることが報告されており,筆者らの現在検討中の研究でも高い効果量で改善することが示された。認知機能障害の評価や介入は,本邦では主に統合失調症を対象に実施されているが,大うつ病性障害では高い改善効果が期待できるので,今後は積極的な認知機能障害の評価と介入が望まれる。
詳細
Cognitive remediation therapy for cognitive impairment in major depressive disorder
豊巻 敦人 久住 一郎
北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室