肝胆膵第84巻第4号

鉄動態の制御と肝癌の進行

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  • 金森 耀平,他(熊本大学)
  • 発行日:2022年04月28日
  • 〈要旨〉
    鉄過剰と肝癌進展の関連性は古くから議論されてきたものの,その因果関係にはいまだ不明な点が多い.従来の研究では総鉄量の増減が注目されてきたが,鉄は生体内において2価と3価の異なる形態をとり,これらの動態変化は生命活動に大きな影響を及ぼす.そのため,鉄と肝発癌の関連性を理解するためには,総鉄量および鉄動態の双方の視点からの議論が不可欠であるが,鉄動態を操作する研究手法がないために肝癌発症のメカニズム解析は困難であった.近年の研究により,鉄と直接結合するユビキチンリガーゼFBXL5が鉄の動態制御に必須の役割を担うことが明らかにされた.肝細胞においてFBXL5を欠失させたマウスでは2価鉄過剰が誘導され,肝癌の進展が促進される.一方,3価鉄が過剰になるマウスモデルでは肝癌の進行は促進されなかった.このことは,肝癌の進展において鉄の動態制御が重要な役割を担うことを示唆している.本稿ではFBXL5による鉄代謝制御機構について概説し,FBXL5欠損マウスから得られた知見をもとに,鉄による肝癌発症の分子メカニズムについて議論する.

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Iron homeostasis and liver carcinogenesis: lessons from FBXL5 knockout mice
金森 耀平 諸石 寿朗
熊本大学大学院生命科学研究部シグナル・代謝医学講座