肝胆膵第84巻第4号
アルコール関連肝疾患における鉄動態の変化
電子書籍のみ
- 今 一義(順天堂大学)
- 発行日:2022年04月28日
- 〈要旨〉
習慣的なアルコールの過剰摂取は体内,肝臓における鉄の過剰状態を誘発する.その機序の主なものとして,ヘプシジンの発現低下による鉄吸収の亢進が指摘されている.過剰鉄は肝内の脂肪蓄積,炎症,細胞死,線維化,発癌といった多くの肝病態進展プロセスに密接に関わっており,その形成機序には鉄による肝細胞内のミトコンドリアの機能障害,酸化ストレスの増大,フェロトーシス/アポトーシスなどの細胞死形態が関与する.鉄過剰は常習飲酒者の肝障害における予後規定因子としても報告されており,鉄代謝関連の基質が肝障害の指標になるだけでなく,鉄動態の制御は将来的な治療ターゲットとしても注目される.
詳細
The changes in iron dynamics in alcohol-associated/-related liver disease
今 一義
順天堂大学医学部消化器内科