臨床精神医学第49巻第3号
意識障害と注意障害
電子書籍のみ
- 武田 朱公・他(大阪大学)
- 発行日:2020年03月28日
- 〈抄録〉
意識や注意はさまざまな精神機能や認知機能,知覚・運動機能に至るまで,広範な脳機能を支える最も基盤的な要素といえる。意識や注意が保たれていなければ,精神症状や高次脳機能を正確に評価することはできない。一方で意識障害や注意障害の症状は多様であり,特に軽度の場合は臨床的に気づきにくいこともあるが,早期診断と適切な介入は生命予後や認知機能予後の観点から重要といえる。せん妄の病態においてはその背景に種々の程度の意識障害や注意障害が存在するため,これらの障害に対する正確な理解がせん妄の診断精度の向上にもつながる。本総説では,意識障害と注意障害の定義や診断,症状とその評価法について概説する。特にせん妄の診断基準の中で注意障害や意識障害の用語や定義を吟味することは,それぞれの病態理解を深めるうえで有用と考えられる。
詳細
Disturbance of consciousness and attention
武田 朱公*1,2 谷向 仁*3,4
*1 大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学講座
*2 大阪大学大学院医学系研究科附属最先端医療イノベーションセンター
*3 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
*4 京都大学医学部附属病院緩和ケアセンター/ 緩和医療科