臨床精神医学第49巻第3号

「意識の神経相関」を超えて─「意識の構造」と「情報の構造」の特徴づけ,そして「構造間の関係性の同定」を目指して─

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  • 土谷 尚嗣・他(Monash 大学)
  • 発行日:2020年03月28日
  • 〈抄録〉
    われわれが主観的に感じる意識と,脳の中で生じている物理・化学現象の間をつなぐ科学法則とは一体どのようなものだろうか? 意識をめぐる謎は,現代科学が直面している謎の中でも最も巨大でかつ魅惑的なものの一つである。この謎を避け,人間や動物を外部から観測可能な行動のみから規定しようとする世界観では,幻覚・妄想などを訴える患者の意識の理解,さらには,言語報告のできない患者・乳児・動物の主観感覚の理解といった問題に,科学的なメスを入れることができない。近年,そのような世界観を乗り越え,意識の問題に真っ向から取り込もうとする科学者が中心となり,意識と脳の関係性をめぐる実証的研究が大幅に進んできた。本稿では,現状見込みがあると考えられている意識研究のいくつかの研究の枠組みを概観する。さらに,従来の枠組みでは乗り越えるのが難しい意識の問題を解決するために,筆者らが近年考えている方策を紹介する。筆者らは意識経験の構造,さらに脳から生じる情報の構造,そして構造の間の関係性を明らかにする必要性があると考えている。また,それを可能にする数学的ツール,圏論も簡単に紹介し,今後の展望を述べる。

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Beyond the "Neural Correlates of Consciousness": Characterizing the structure of consciousness and information and identifying their relationship
土谷 尚嗣*1 大泉 匡史*2 山田 真希子*3 西郷 甲矢人*4
*1 School of Psychological Sciences, Monash University
*2 京大学大学院総合文化研究科
*3 量子科学技術研究開発機構
*4 長浜バイオ大学