臨床精神医学第48巻第12号
人工内耳の役割と将来
電子書籍のみ
- 美内 慎也・他(兵庫医科大学)
- 発行日:2019年12月28日
- 〈抄録〉
高齢化が進む本邦において難聴治療の必要性が高まりつつある。補聴器にて聞き取りが困難な高度難聴者に対して,現在保険承認されている唯一有効な治療が人工内耳埋め込みである。人工内耳で音は電気信号に変換され,挿入された電極を介して直接蝸牛へ伝わることで音として認識される。手術にて電極を蝸牛内へ挿入する必要があり,近年では侵襲の少ない正円窓経由での電極挿入が主流となってきている。聴取能の改善が見込まれ, QOL向上へ寄与できるデバイスであるが,MRI撮影において制限があり対応も必要となる。人工内耳埋め込み後に,緊急での頭部MRIを受けることが困難となる可能性について,本人や家族へ十分に説明を行い,理解を得られたうえで手術を行う必要がある。人工内耳埋め込み術の適応は,基準改定ごとに拡大しており,さらなる適応拡大の可能性や高齢難聴者の増加により,今後も人工内耳手術が増加する可能性が考えられる。
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Roles and the future of Cochlea Implants
美内 慎也 阪上 雅史
兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科