臨床精神医学第48巻第12号

予測する脳が生み出す知覚世界

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  • 知念 浩司・他(京都大学)
  • 発行日:2019年12月28日
  • 〈抄録〉
    聴知覚が成立するためには,外界に,必ずしも音源がある必要はない。統合失調症では,現実には存在しない人の声が,内側から生まれてくるような主観(幻聴)を伴う。近年,脳は,外界の信号を受動的に処理する装置ではなく,予測テンプレートを能動的に作り出し,予測誤差を最小化するように,内部モデルを更新していくという予測符号化モデルを支持する知見が蓄積している。このスキームにおいて,統合失調症は,遠心性コピーの伝達障害があるために,自己の運動由来の感覚信号と,外界由来の信号の区別がつかなくなったり,メタ認知などの自己モニタリング機能に障害が起こっているために,過剰な確信度を伴った判断に偏ったりする症候をきたすと捉えられる。今後,精神医学の病像は,神経生理学・認知科学・計算科学が有機的に連動した手法によって,より本質的な理解が進むだろう。

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Predictive brains generate our perceptual worlds
知念 浩司*1 三澤 魁旺*1 小村 豊*1,2
*1 京都大学大学院 人間・環境学研究科
*2 京都大学 こころの未来研究センター