肝胆膵第80巻第2号
慢性膵炎の膵癌リスクは本当にそんなに高いのか
電子書籍のみ
- 永井 一正,他(東京医科大学)
- 発行日:2020年02月28日
- 〈要旨〉
慢性膵炎は膵癌のリスクファクターとして注目されてきた.過去の多くの疫学研究で,慢性膵炎の膵癌リスクは一般人口に比べて高いことが示されている.また,その発生機序における研究でもKRAS変異を背景とした慢性膵炎からの発癌メカニズムが明らかとなりつつある.しかし,実臨床現場では慢性膵炎から発生した膵癌の診断は容易ではなく,スクリーニング法も確立されていない.重要な点として,慢性膵炎と診断されて2年以内は潜在する膵癌を見逃している可能性があり,特に注意深い診察を要する.また,若年発症し罹病期間が長期にわたる症例についても,膵癌の発生リスクが高く,定期フォローが望ましい.
詳細
Whether the risk of pancreatic cancer is really high in the patient with chronic pancreatitis
永井 一正 祖父尼 淳 石井 健太郎 土屋 貴愛 田中 麗奈 殿塚 亮祐 本定 三季 向井 俊太郎 山本 健治郎 糸井 隆夫
東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野