肝胆膵第80巻第2号
腸内細菌は慢性膵炎発症に関連するのか
電子書籍のみ
- 渡邉 智裕,他(近畿大学)
- 発行日:2020年02月28日
- 〈要旨〉
過度の飲酒は慢性膵炎発症の最大の危険因子である.飲酒は膵臓酵素の異所性(膵臓内)活性化を誘導し,膵臓組織の自己消化を引き起こす.膵臓酵素による自己消化と炎症反応の反復が慢性膵炎の病態を形成している.最近,慢性膵炎の発症に腸内細菌に対する免疫反応が関与する可能性が示唆されている.腸内細菌叢の変化が慢性膵炎患者の病態と関連することが報告されている.また,慢性膵炎モデルマウスを用いた検討では,腸内細菌を認識して活性化されるnucleotide-binding oligomerization domain1(NOD1:自然免疫反応受容体)が膵臓酵素による組織自己消化と協調して,慢性膵炎の発症を促進することが判明した.このように,腸内細菌に対する免疫反応が慢性膵炎の発症に関連することが明らかになりつつある.
詳細
Gut microbiota and chronic pancreatitis
渡邉 智裕 三長 孝輔 原 茜 鎌田 研 工藤 正俊
近畿大学医学部消化器内科