臨床精神医学第48巻第4号
軽症頭部外傷患者の拡散テンソル画像研究
電子書籍のみ
- 青木 悠太(昭和大学発達障害医療研究所)
- 発行日:2019年04月28日
- 〈抄録〉
Glasgow Coma Scaleで13点以上の軽症頭部外傷(mTBI)は,従来の脳画像検査では異常を検出できず急性期には症状が自然と改善するため過小評価されてきた。しかし,長期的にはPTSDをはじめとした深刻な精神・身体症状のリスクとなる。そこで,mTBIの神経基盤を解明しようと多くの拡散テンソル画像(DTI)研究が行われてきた。関心領域法を用いてmTBI患者群と対照群を比較した15の研究のメタ解析は,mTBI患者群で脳梁膨大部のfractional anisotropy(FA)が低下していることを報告した。また,独立した被験者を対象としたTract-Based Spatial Statistics(TBSS)解析のメタ解析も,対照群と比較してmTBI患者群で脳梁膨大部のFA値が低下していることを示した。さらに,関心領域法研究ではメタ解析の対象とならなかった視床に損傷が及んでいることが示唆された。これらの結果は,DTIの前処理方法や解析方法によらずに一貫しており,中等症以上のTBIの画像研究や動物実験の結果とも矛盾のないものであった。今後は臨床応用化に向けた努力が求められている。
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An overview of diffusion tensor imaging studies with patients with mild traumatic brain injury
青木 悠太
昭和大学発達障害医療研究所