臨床精神医学第48巻第4号
スポーツと軽度外傷性脳損傷
電子書籍のみ
- 川又 達朗(おとわ内科・脳神経外科クリニック)
- 発行日:2019年04月28日
- 〈抄録〉
コンタクトスポーツでは,しばしば頭部外傷が発生する。多くは脳振盪であり症状を残さず回復する。重症例は急性硬膜下血腫であり,頻度は少ないが死亡率が高いため,予防に努めなくてはならない。運よく少量の出血にとどまった硬膜下血腫は,症状も軽く脳振盪との区別が難しい。そのような症例が競技に復帰し再び頭部を打撲すると,出血部の血餅がはがれ,再出血をきたし重篤な状態に陥ることが報告されている。スポーツ頭部外傷では,軽症急性硬膜下血腫の可能性を念頭において診療を進めなくてはならない。自覚症状,特に頭痛が長引く場合は,MRI T2*画像を撮影し,出血の有無を確認する。脳振盪を複数回負った後に,認知障害を中心とした慢性外傷性脳症(CTE)を発症することがある。脳振盪を軽視せず,受傷回数を減らす努力を続けなければならない。
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Mild traumatic brain injury in sports
川又 達朗
おとわ内科・脳神経外科クリニック