臨床精神医学第48巻第4号

TBI の神経病理所見

  • 髙尾 昌樹(埼玉医科大学国際医療センター)
  • 発行日:2019年04月28日
  • 〈抄録〉
    Traumatic brain injury(TBI)とは,外傷によって生じた構造的な脳損傷あるいは生理学的な脳機能の障害である。TBIの病理学的分類は,頭皮,頭蓋骨,頭蓋内の病変に分けることができる。ここでは,頭蓋骨から頭蓋内の病理所見をまとめた。頭蓋骨骨折は,主に線状,陥没,離開に分類される。頭蓋骨と脳硬膜との間の出血を硬膜外出血,脳硬膜と脳くも膜との間の出血を硬膜下血腫という。外傷による椎骨動脈の解離,破綻によりくも膜下出血が生じる。脳挫傷は脳実質表層の直接損傷を示す用語で,通常灰白質病変が主体である。頭部打撲した直下の脳損傷coup contusionsと,打撲したサイドと対側の損傷contrecoup contusionsを認める。回転や剪断力により,脳実質軸索に障害をきたすと,外傷性軸索損傷を生じ,脳梁や脳幹背側に点状出血,組織学的に軸索腫大を認める。反復的な外傷により,脳内にタウ陽性の神経原線維変化がアルツハイマー病とは異なる分布で沈着するchronic traumatic encephalopathyがある。

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Neuropathology of TBI
髙尾 昌樹
埼玉医科大学国際医療センター神経内科・脳卒中内科