臨床精神医学第48巻第2号
性別適合手術が保険適応となった意義と性同一性障害/性別違和診療における精神科医の役割
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- 松本 洋輔(岡山大学)
- 発行日:2019年02月28日
- 〈抄録〉
2018年4月の診療報酬の改定に伴い,性同一性障害/性別違和に対する性別適合手術が保険診療化された。保険診療化されたのは,乳房切除術,子宮卵巣切除術,尿道延長術,陰茎形成術と除睾術,陰茎切断,外陰部形成,造膣術である。GID学会認定医が認定施設で日本精神神経学会のガイドラインに沿って実施した場合にのみ保険適用となる。2017年秋から急転直下の経過で保険適用が決まったため,ホルモン療法の保険適用が実現していない。ホルモン療法を自費で受けた患者は,混合診療禁止の規定により保険適用による手術を受けることができないという矛盾が生じており,早急な対応が望まれる。現在の状況で性別適合手術希望者が急増するとは考えられないが,認定医と認定施設を増やし完全な保険適用化に備える必要がある。認定医に限らず精神科医は先入観を持たず性別への違和感を持つ当事者の苦悩に耳を傾ける態度が必要である。
詳細
The significance that the sex reassignment surgery became to be covered by the national health insurance service and the role of psychiatry in the medical treatment for gender dysphoric individuals
松本 洋輔
岡山大学病院ジェンダーセンター