臨床精神医学第53巻第8号

Mild traumatic brain injuryと高次脳機能障害

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  • 前田 剛・他(日本大学)
  • 発行日:2024年08月28日
  • 〈抄録〉
    Mild traumatic brain injury(MTBI)は,1993年に米国リハビリテーション医学会(American Association of Rehabilitation Medicine:ACRM)により初めて提唱された。ACRMの定義は,自覚症状を主体に定義され,重症度や画像診断などの他覚的所見を考慮していない。そのため混乱を招いたが,2004年にWHO Collaborating Centre Task Forceが,システマティックレビューを基に研究における方法論として,新たなMTBIの定義を提案した。そして,この提案を基に行われたシステマティックレビューでは,MTBIの多くが脳振盪であり,高次脳機能障害は受傷後1年以内に回復を認めた。「軽症頭部外傷」の中に脳損傷が存在することがあっても,軽度の外傷によって器質的脳損傷が生じることはない。ACRMは,定義の公表からすでに30年が経過し,また診断技術の向上や医学的研究の変容に対応すべく,また,国際的なコンセンサスを得るために定義の改定を行った。日本において「MTBI」は脳神経外科の病名としては存在せず,統一された定義を持つ医学用語でもない。しかし,MTBIはGlasgow Coma Scale 13~15の「軽症頭部外傷」と混同され,損害賠償請求の際などに使われやすい。本稿では,MTBIを解説するとともに,MTBIにおける高次脳機能障害に焦点をあて解説する。

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Cognitive dysfunction due to mild traumatic brain injury
前田 剛*1,2,3 片山 容一*1.3 吉野 篤緒*1
*1日本大学医学部脳神経外科学系神経外科学分野
*2日本大学医学部麻酔科学系麻酔科学分野
*3青森大学脳と健康科学研究センター