臨床精神医学第53巻第8号

頭部外傷急性期の意識障害と精神症状─通過症候群やせん妄を含めて─

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  • 奧野 憲司(東京慈恵会医科大学附属柏病院)
  • 発行日:2024年08月28日
  • 〈抄録〉
    脳外傷の急性期には,せん妄や通過症候群による幻覚・妄想・興奮・攻撃性がしばしば生じる。脳外傷による通過症候群は,いわゆる通過してもらうことを待つことが治療であるのに対して,せん妄に対しては全身状態を安定化させることで対応できる病態であり,その見極めが重要になる。頭部外傷後,意識障害が改善する急性期から亜急性期の時期に通過症候群を呈することがある。抑制困難な症例に難渋する場合には,精神科と協力して治療をすることが勧められる(グレードA)。脳損傷で生じた興奮に対しては,気分安定薬(バルプロ酸,カルバマゼピン)や漢方薬(抑肝散)の投与を考慮してよい(グレードB)。また,抑うつ症状・不安焦燥・衝動性・易刺激性などには,抗うつ薬としてのSSRIの投与を考慮してもよい(グレードB)。興奮に対して抗うつ薬や気分安定薬が無効であった場合や,妄想などの統合失調症様の症状を伴う場合は,抗精神病薬の投与を考慮してもよい(グレードB)。

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Disorders of consciousness and psychiatric symptoms in the acute phase of head trauma, including transit syndrome and delirium
奧野 憲司
東京慈恵会医科大学附属柏病院救急部