臨床精神医学第53巻第8号
高齢者における高次脳機能障害と認知症の課題
電子書籍のみ

- 河井 信行(かがわ総合リハビリテーション病院)
- 発行日:2024年08月28日
- 〈抄録〉
人口の高齢化に伴い高齢者が急速に増加していくことが予測される。頭部外傷や脳卒中後の高次脳機能障害と認知症でみられる神経心理学的障害は共通しているが,両者は,①発症時期の明確さ,②進行性の有無で異なっている。高齢者では軽微な頭部外傷で高次脳機能障害が後遺する可能性があり,時に改善しないまま認知症を合併し進行悪化することがある。その原因として脳内の老廃物の排泄の働きを担うグリンパティックシステムの機能障害によりアミロイドβの排泄障害のため認知症が進行すると考えられている。また加齢は脳卒中後に認知症を発症するリスクを高める。その原因として心血管系の危険因子と加齢に伴う脳小血管病の存在である。さらに脳小血管病はグリンパティックシステムの機能障害により脳アミロイド血管症を起こし,血管性と退行性認知症はお互いに関与しながら進んでいく。高齢者における頭部外傷の予防啓発と修正可能な心血管系の危険因子の管理指導が必要である。
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Problems of higher brain dysfunction and dementia in the elderly
河井 信行
かがわ総合リハビリテーション病院脳神経外科