臨床精神医学第53巻第5号
子どもの虐待予防と妊娠期・周産期からの妊産婦支援
電子書籍のみ
- 鷲山 拓男(とよたまこころの診療所)
- 発行日:2024年05月28日
- 〈抄録〉子どもの虐待への医学的取り組みは,1960年代初頭の米国で小児科医,精神科医,産婦人科医,放射線科医の多職種連携で始まった。1970年代の予防の取り組みが1980年代に停滞するが,1990年の全米諮問委員会報告を機に取り締まりに偏った施策への自己批判が展開され,妊娠中からの看護職の訪問による虐待予防が今世紀の米国各州で実践されている。子どもの虐待とは健康問題であり,予防医学の対象である。リスクが高いと判断されるならば,支援によって予防すべきである。「虐待とは,リスクのある妊産婦や親と子どもを孤立に追い込む地域社会の問題である」という認識で,養育困難のリスクのある親たちを青年期や妊産婦の段階から支援していくことが,子どもの虐待を予防する。臨床精神科医がソーシャルサポートや保育園利用診断書,訪問看護指示書などの一般的手法で継続的に関わることが,子どもの虐待リスクを軽減する支援として有用である。
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Prevention of child maltreatment and supporting perinatal or pregnant women
鷲山 拓男
とよたまこころの診療所