臨床精神医学第53巻第1号

せん妄を呈した食道癌術後甲状腺機能低下症の1症例

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  • 武田 隆綱(武田メンタルクリニック)
  • 発行日:2024年01月28日
  • せん妄を呈した食道癌術後甲状腺機能低下症の1症例を経験した。症例は当院初診時60歳の女性である。57歳時に食道癌により食道切除術と頸部放射線照射を受けた。60歳時に幻聴,幻視,妄想,注意集中困難,健忘,見当識障害などの症状が出現し,頭部MRIや髄液検査,脳波検査で異常なく,当院に紹介された。初診時は幻聴,幻視,妄想が活発で,注意集中困難や健忘,見当識障害も目立った。諸検査から頸部放射線照射による医原性の甲状腺機能低下症に基づくせん妄と診断した。そこでレボチロキシンの補充療法とオランザピンの投与を開始したところ,4週間後にせん妄は消失した。その後はレボチロキシンを継続し,オランザピンを漸減中止したが,半年以上にわたって安定した状態が続いている。本症例の経験から頸部放射線照射を伴う食道癌術後に精神症状を呈する場合は,医原性甲状腺機能低下症を念頭において検査や治療を進めていくことが必要と考えられる。

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A case of esophageal cancer with delirium caused by hypothyroidism after radiation to neck
武田 隆綱
武田メンタルクリニック