臨床精神医学第53巻第1号
MSLTの意義・正確性
電子書籍のみ
- 松井 健太郎(国立精神・神経医療研究センター)
- 発行日:2024年01月28日
- 客観的な眠気の強さを測定する検査である反復睡眠潜時検査(MSLT)は,ナルコレプシーや特発性過眠症の診断に不可欠な検査である。MSLTでは,日中4 ~ 5回実施されるnapにおいて,入眠潜時や入眠期に生じる急速眼球運動(SOREMPs)を測定する。ナルコレプシーの診断基準として,平均入眠潜時が8分以下で,SOREMPsが2回以上観察されることがあげられる。MSLTの再検査信頼性および評価者間信頼性は高い。一方,慢性的な睡眠不足や閉塞性睡眠時無呼吸,薬剤の影響による二次的な眠気により,基準となる平均入眠潜時を下回る可能性があるため,事前の十分な睡眠時間の確保,併存する睡眠障害の治療,薬剤の中止が重要である。推奨プロトコルでは,睡眠ポリグラフ検査(PSG)の後に行うこと,カフェインやアルコールの摂取制限,CPAP療法を受けている患者の対応,検査室の環境設定など,細かい手順が定められている。
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The significance and accuracy of the MSLT
松井 健太郎
国立精神・神経医療研究センター病院臨床検査部