臨床精神医学第53巻第1号
ADHD,ゲーム障害と睡眠相後退症候群
電子書籍のみ

- 高木 俊輔(東京医科歯科大学)
- 発行日:2024年01月28日
- 朝の起床困難や日中の眠気を訴える若年の症例では,夜間のスマホやゲーム使用が指摘されることが多く,それがすべての問題を引き起こしている原因と認識されがちである。しかし,夜間のスマホ,ゲーム使用の前から入眠困難や朝の起床困難が存在する症例が多くある。さらに,その中には注意欠如・多動性障害(ADHD)の傾向をもつ方が多い。症状をゲーム障害,睡眠相後退症候群(DSWPD)と捉えると,両疾患のADHDとの高い合併率は明らかである。また,睡眠相後退症候群は一般的な物質依存症のリスク因子であり,ゲーム障害においてもリスクとなり得ると考えられる。すなわち,夜間のスマホ,ゲーム使用がすべての原因ではなく,その基底となっているADHDやADHDと合併率の高いDSWPDが相互に関係しながら夜間のスマホ,ゲーム使用を誘発している可能性がある。夜間のスマホ,ゲーム使用と朝の起床困難が問題となっている症例では,以上を意識して加療し問題の解決を目指すべきである。
詳細
ADHD, gaming disorder and delayed sleep wake phase disorder
高木 俊輔*1,2,3
*1東京医科歯科大学大学院精神行動医学分野
*2睡眠総合ケアクリニック代々木
*3早稲田大学睡眠研究所