臨床精神医学第48巻第7号

精神病(psychosis)概念の歴史と現状

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  • 針間 博彦(東京都立松沢病院)
  • 発行日:2019年07月28日
  • 〈抄録〉
    「精神病(psychosis)」概念の経緯と現状を概説し,現在の用法の諸問題について触れる。この語は19世紀半ば,神経系の疾患全般を示していた「神経症(neurosis)」のうち精神症状を示す病態を指すものとして造語されたが,20世紀前半にかけて「神経症」が心因性・非器質性の障害を示すようになると,「神経症」と「精神病」の用法は逆転し,「精神病」は非心因性・疾患性の精神症候群として神経症と対比されるようになった。精神病と神経症という二分法は1980年のDSM-Ⅲによって廃止され,以後,“psychotic” という形容詞が幻覚や妄想など特定の精神症状の存在を示す記述用語として用いられているが,現在の精神病概念の内包と外延はなお明確ではなく,そのため非精神病性の状態との境界はしばしば不明瞭である。現在,psychosisの訳語が再検討されており,その前提となりうる要点を整理した。

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Psychosis: The history and present status
針間 博彦
東京都立松沢病院精神科