肝胆膵第83巻第1号
アルコール摂取はNAFLD/NASHの病態へ影響するか
電子書籍のみ
- 重福 隆太,他(三重大学)
- 発行日:2021年07月28日
- 〈要旨〉
以前は少量のアルコール摂取(20 ~ 30 g/ 日)が非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)患者の肝線維化や肝障害進展を軽減するという報告が散見された.一方で,近年の報告では,少量飲酒がNAFLD重症度を改善しないこと,肥満や飲酒は肝線維化を促進すること,NAFLD患者における少量飲酒は肝細胞癌発生の危険因子であるとの報告が相次ぎ,少量~中等度の飲酒でもNAFLDの病態を増悪させる結果が示されている.このように,アルコール少量摂取がNAFLD/NASH(nonalcoholic steatohepatitis)に与える影響は,意見の一致をみていない.少量飲酒の影響は個人の性別,遺伝背景(1B型アルコール脱水素酵素・ADH1B遺伝子)によって異なることが予想されるため,本稿では本邦からの報告を中心に概説する.
詳細
Effect of alcohol consumption on the pathophysiology of NAFLD/NASH
重福 隆太 岩佐 元雄
三重大学医学部附属病院消化器・肝臓内科