肝胆膵第81巻第1号
DAA治療後薬剤耐性変異と再治療成績-Super Resistantは存在するか-
電子書籍のみ
- 板倉 潤(武蔵野赤十字病院)
- 発行日:2020年07月28日
- 〈要旨〉
Direct acting antivirals(DAA)治療の普及により,C型肝炎ウイルス排除率は非常に高くなったが,不成功後に存在する薬剤耐性変異が問題である.本邦で集計された治療不成功後薬剤耐性変異報告では治療法にかかわらずNS5A領域Y93-RASが70%以上の頻度で検出された.Signature RASであるNS3領域D168変異やNS5A領域L31変異に加え,少数ではあるが強力な耐性変異であるNS5A領域P32del やA92Kも認めた.単回よりも複数回DAA治療不成功例の方が耐性変異検出頻度は高く,NS3領域とNS5A領域の両方に検出する頻度は不成功治療数に従って上昇した.GLE/PIB再治療によるウイルス排除率は95%であった.不成功回数が増えるほど耐性変異は複雑化するため,治療不成功の際には耐性変異も含めた精査を行うことが望ましい.
詳細
Drug resistance and DAA retreatment: does super resistant exist?
板倉 潤
武蔵野赤十字病院消化器科