肝胆膵第81巻第1号

  • 特集/2020年のC型肝炎−Total CureとPost SVR−
  • 発行日:2020年07月28日
  • <企画趣旨> 2020年,DAAによりあらゆるHCV症例でほぼ完璧なSVRが達成され,ほとんどの通院患者はPost SVRとなっている.その中でも,強度治療抵抗性例,Genotype 3,非代償性硬変など,限定された問題も残っている.ウイルス駆除後のさまざまな病態変化,肝代謝、肝外病変,肝移植症例の経過など,さまざまなことも明らかとなっている.残された課題はPost SVR HCCの対策である.本特集では2020年のHCV感染の世相を反映した最新知見について詳述する.

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〈目次〉
〔巻頭言〕2020年代のC型肝炎-Total CureとPost SVR- 大阪大学 竹原 徹郎

最終フェーズのDAA治療
日本のHCVはどこまで駆除されたのか-本邦におけるDAA治療症例の変遷- 国立国際医療研究センター 是永 匡紹,他
DAA治療後薬剤耐性変異と再治療成績-Super Resistantは存在するか- 武蔵野赤十字病院 板倉 潤
実臨床におけるグレカプレビル・ピブレンタスビル治療効果-DAA不成功例・ジェノタイプ3を含めて- 埼玉医科大学 内田 義人,他
ソホスブビル・ベルバタスビル治療のReal World マツダ株式会社マツダ病院 長沖 祐子,他
小児のC型肝炎の現状とDAA治療のインパクト 近畿大学 田尻 仁,他

Post SVRの課題
DAA治療はサルコペニアを改善するか 国立病院機構長崎医療センター 末廣 智之,他
SVR後の肝外合併症の変化 虎の門病院 瀬崎 ひとみ
DAA治療後脂質変化-MRI-PDFF (proton density fat fraction)の有用性- 山梨大学 辰巳 明久,他
肝移植に関連するC型肝炎治療の現状と課題 九州大学 吉住 朋晴,他
HCVワクチンの意義と開発の見通しはあるか 国立感染症研究所 加藤 孝宣

肝発癌
肝細胞癌の分子分類と臨床病理学的特徴 慶應義塾大学 久保田直人,他
SVR後肝発癌の分子基盤解明にむけた網羅的遺伝子発現解析 京都大学 竹田 治彦,他
DAA治療後における肝硬度の経時的変化と肝発癌 日本医科大学 厚川 正則,他
C型慢性肝疾患におけるSVR後肝発癌予測因子の検討 東京医科歯科大学 中川 美奈
DAA治療は肝癌患者の生命予後を改善する 大垣市民病院 安田 諭,他
DAA治療によるSVRは多段階肝発癌を抑制するか-EOB-MRIの有用性- 大垣市民病院 豊田 秀徳,他

座談会 治療の現況と残された問題点
〔2020年5月1日におけるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に関連した状況について情報交換〕 (司会)坂本 直哉(北海道大学)/黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院)/八橋 弘(長崎医療センター)/寺井 崇二(新潟大学)

Column ティータイムセミナー History of Universe-宇宙はいつ始まり,その前に何があったのか?- 東京医科大学 糸井 隆夫

シリーズ 肝胆膵と医療安全 医療事故調査と病理解剖 北海道大学 田中 敏,他