臨床精神医学第51巻第8号
統合失調症患者の樹木画特徴の包括的な検討-健常対照群との比較から-
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- 川杉 桂太・他(早稲田大学)
- 発行日:2022年08月28日
- 〈抄録〉
本研究では,DSM-Ⅳ-TRに基づき統合失調症と診断された64名と,年齢・性別をマッチングさせた健常対照群66名の描いた樹木画について,描画特徴を多項目にわたり定性的に評価した。また判別分析やコレスポンデンス分析により,対象者のグループごとに,描画特徴との対応について検討した。判別分析の結果,7項目を用いた判別関数が算出され,その精度は,平均して,全体の判別率が85.97%,正しく統合失調症患者と判別した割合が76.32%,正しく健常対照群と判別した割合が95.33%であった。また,PANSSに基づく統合失調症の下位分類4類型および健常対照群の計5グループの,38項目の描画特徴の出現割合について,コレスポンデンス分析を実施した。その結果,三つの軸が見いだされ,それぞれ,「描画のまとまりのよさ」,「樹木がアンバランスか,樹木以外も含めアンバランスか」,「描線の少なさ」と解釈され,類型ごとの描画特徴の違いや陽性症状を反映したものと考えられた。
詳細
Comprehensive analysis of tree-drawing characteristics of participants with schizophrenia –comparison with healthy controls–
川杉 桂太*1 岩滿 優美*2 轟 慶子*3 小林 史乃*4 小平 明子*3 延藤 麻子*3
*1早稲田大学文学学術院
*2北里大学大学院医療系研究科
*3鶴賀病院
*4東京都健康長寿医療センター