肝胆膵第79巻第5号

慢性膵炎の早期診断

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  • 菊田 和宏,他(東北大学)
  • 発行日:2019年11月28日
  • 〈要旨〉
    慢性膵炎の多くは非可逆性であり,早期の診断が望まれてきた.本邦では「慢性膵炎臨床診断基準2009」において世界に先駆けて早期慢性膵炎の疾患概念を診断基準に取り入れ,10年が経過した.全国調査,前向き観察研究の結果から,早期慢性膵炎と診断された症例の一部は慢性膵炎確診例に進行すること,飲酒や喫煙,急性膵炎の既往が進行のリスクとなることが明らかになる一方で,現行の診断基準は特異度が低い可能性も指摘されている.慢性膵炎の早期診断法を確立するためには,早期慢性膵炎として拾い上げた症例を引き続き長期に経過観察する必要があり,また,その病態,組織像を反映するような新たなバイオマーカー,診断モダリティの開発も望まれる.

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Diagnosis of early chronic pancreatitis
菊田 和宏 正宗 淳
東北大学大学院医学系研究科消化器病態学分野