肝胆膵第79巻第5号
C型肝炎SVR後の背景肝メチル化と肝線維化
電子書籍のみ
- 本多 政夫,他(金沢大学)
- 発行日:2019年11月28日
- 〈要旨〉
近年の肝癌組織を用いたゲノム解析から肝発癌におけるエピゲノム修飾の重要性が示唆されている.また,ウイルス排除後の肝発癌の機序として,エピゲノム修飾などによる不可逆的な遺伝子発現異常が肝発癌に大きく関わっている可能性が示唆される.われわれは,SVR直後の肝組織およびSVR後肝発癌時の背景肝を用いた網羅的メチル化解析を行い,肝の炎症・線維化と密接に関連する新規メチル化変動遺伝子を同定した.新規遺伝子の発現部位は血管内皮細胞であり,その発現量は肝組織の活動性やステージと有意な相関を示した.さらには,肝癌の再発や予後と関連することも示唆された.新規遺伝子はshearストレスやERストレスにより誘導され,炎症サイトカインを誘導する機能を有しており,新規バイオマーカーとなりうる可能性が示唆された.
詳細
The association of DNA methylation and fibrosis in chronic hepatitis
本多 政夫*1,2 西川 昌志*2 岡田 光*2 佐々木 素子*3 金子 周一*2
*1金沢大学医薬保健学域病態検査学
*2同 消化器内科
*3同 形態機能病理学