肝胆膵第79巻第5号
膵癌微小環境における膵星細胞の意義－癌促進か癌抑制か－
電子書籍のみ
- 伊地知 秀明（東京大学）
- 発行日：2019年11月28日
- 〈要旨〉
最難治癌である膵癌の克服ためには，豊富な間質・著明な線維化を有する特徴的な癌微小環境を含めた病態理解が必要である．この膵癌微小環境の著明な線維化において，膵星細胞が中心的な役割を果たしている．膵星細胞は癌関連線維芽細胞の供給源と考えられており，これまでは難治癌において癌促進的に作用するものと考えられてきた．しかし，臨床の膵癌像をよく再現する膵発癌モデルでは，意外にもそれを覆す報告がなされ，はたして癌促進か抑制かが混沌とした．最近では，膵星細胞，癌関連線維芽細胞にも多様性があることが報告され，膵癌細胞との相互作用により癌促進的にも抑制的にもなりうる可塑性があることが明らかとなってきている．
詳細
Roles of pancreatic stellate cells in the tumor microenvironment of pancreatic cancer –tumor promoting or tumor suppressing?–
伊地知 秀明
東京大学消化器内科・病態栄養治療部