肝胆膵第77巻第5号
全国調査からみたSPN診断・治療の現況
電子書籍のみ
- 栗原 啓介,他(広島大学)
- 発行日:2018年11月28日
- <要旨>
背景としては日本膵臓学会による膵充実性偽乳頭腫瘍(SPN)全国調査を施行し結果を報告した.その結果に当院での自験例を含め,SPNの診断と治療について検討した.対象と方法は全国調査で288例のSPN症例に対してアンケート調査と病理所見,画像所見のcentral reviewを行った.結果は男性74例(26%),女性214例(74%),平均年齢34.9歳.診断時に遠隔転移を5例に認めた.278例で手術が施行され,5年生存率は98.8%,術後再発は6例に認めた.典型的な画像所見として境界明瞭,辺縁整,内部不均一があげられたが腫瘍径の小さなSPN非典型的な画像所見が多くみられた.病理学的には被膜外浸潤が多くみられた.結論は画像所見として腫瘍径による変化を認めた.外科的治療法は定型的な完全切除を基本とするが,被膜外浸潤のない症例では縮小手術も考慮すべきである.
詳細
Current status of SPN diagnosis and treatment seen from the nationwide survey
栗原 啓介*1 花田 敬士*2 南 智之*2 石井 康隆*1 芹川 正浩*1
*1広島大学大学院医歯薬保健学研究科消化器・代謝内科学
*2 JA尾道総合病院内視鏡センター