肝胆膵第77巻第5号

嚢胞サイズの増大変化が加わった意義

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  • 木村 理(山形大学)
  • 発行日:2018年11月28日
  • <要旨>
    嚢胞が増大していくというのは,いくつかの意味を有する.1)粘液が嚢胞内の上皮から産生されていること.2)交通していた膵管分枝が何らかの原因で閉塞し,どこにも漏れていかないこと.3)流出する膵管分枝と主膵管との交通部分が狭いこと.4)粘液が粘稠で流出しにくいこと.これはある程度以上,嚢胞上皮の粘液産生の能力があることを意味する.また流出膵管分枝に閉塞機転があるとするとそれが悪性である可能性がある.また完全閉塞していても増大するならば,閉塞によって高まった嚢胞内圧にも負けずに上皮が生き残りさらに粘液を産生する能力をまだ有している,ということである.嚢胞内圧が高まれば嚢胞壁の血管も圧迫し,嚢胞上皮は疎血状態になるはずだがそれにも負けずに嚢胞上皮が粘液を産生できるだけの栄養や成分を供給する血管の新生や増生も加わっているはずである.また膵は後腹膜の臓器なのでまわりの結合織の圧力にも打ち勝って増大していく力があるということになる.以上のような推察から,この嚢胞上皮は腫瘍性であり,しかも活発で変性しにくい強さを持っているということになる.悪性を考えてもいいということになる.これが“worrisome features”に入れられたのはある意味当然のことである.

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Significance of cyst growth rate as additional worrisome features
木村 理
山形大学大学院医学系研究科 外科学第一講座