臨床精神医学第47巻第3号
Lurasidone-新規抗精神病薬の双極性うつ病に対する効果-
電子書籍のみ
- 樋口 輝彦(一般社団法人日本うつ病センター)
- 発行日:2018年03月28日
- 〈抄録〉
Lurasidoneの薬理学的特性と双極性うつ病を対象に行われた臨床試験について総説した。本剤は新規抗精神病薬として開発され,その後,双極性うつ病の適応も得て海外では広く臨床に供されているが,わが国では現在,治験中である。本剤の薬理学的特徴は他の非定型抗精神病薬と同様D2,5HT2Aに対する強い親和性を示すことに加えて,5HT7受容体に強い結合活性を有し,5HT1Aに部分アゴニスト活性を示す点である。さまざまな動物モデルで抗精神病作用,抗不安作用,抗うつ作用が認められている。双極型障害うつ病相を対象とした臨床試験はリチウムもしくはバルプロ酸に本剤を上乗せするadjunctive studyとして行われ,その効果が確認されるとともに,単剤での有効性も検証された。有害事象でプラセボ群よりも,多く認められたものは,嘔気,傾眠,振戦,アカシジア,不眠のみであり,体重,脂質,血糖に対する影響は微小であった。
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Lurasidone: a novel antipsychotic agent for the treatment of bipolar depression
樋口 輝彦
一般社団法人日本うつ病センター