臨床精神医学第47巻第3号
- 特集/中枢薬の新たなイノベーション
- 発行日:2018年03月28日
- 〈企画趣旨〉
世界中の製薬会社が新たな向精神薬の開発から撤退しているとの報道がなされたのは2011年頃であった。その後も,アルツハイマー病の新薬の臨床試験の失敗により,中枢薬から撤退するメガファーマが現れるなど,苦しい状況が続いている。しかしその一方で,一部の領域で,少しずつ新薬の芽も出てきており,特に,新たな向精神薬開発に引き続き取り組んでいる日本の製薬会社に,大きな期待がかかっている。本特集では,袋小路に陥った向精神薬開発が,新たな活路を見出しつつある現状について,展望してみたい。
詳細
〈目次〉
オレキシン拮抗薬・スボレキサント (滋賀医科大学)鷹見 将規・他
むずむず脚症候群に対するドパミンアゴニスト (東京医科大学)井上 雄一
ペランパネル─グルタミン酸による興奮毒性に着目して開発された抗てんかん薬─ (エーザイ株式会社)高野 広樹
ナルメフェン─ハームリダクションのためのオピオイド拮抗薬─ (国立病院機構久里浜医療センター)木村 充
Lurasidone ─新規抗精神病薬の双極性うつ病に対する効果─ (一般社団法人日本うつ病センター)樋口 輝彦
(R)- ケタミンvs.(S)- ケタミン (千葉大学社会精神保健教育研究センター)橋本 謙二
自閉スペクトラム症中核症状に対するオキシトシン治療─マルチモダリティ脳画像解析とゲノム薬理学の応用─ (浜松医科大学)山末 英典
アルツハイマー病の新薬開発の現状と展望 (東京大学)井原 涼子・他
アセナピンはなぜ舌下錠なのか (大館市立総合病院)佐藤 靖・他
ドパミンD2 受容体部分アゴニスト系抗精神病薬の創薬研究─新たなイノベーションを目指して─ (大塚製薬株式会社)菊地 哲朗・他
ドパミンD3 受容体遮断による統合失調症の新たな治療の可能性 (大日本住友製薬株式会社)井上 善文
創薬開発に向けた産官学連携─ Public Private Partnerships, PPPs ─ (東京都医学総合研究所)池田 和隆・他
研究報告
措置入院となった精神障害者の治療転帰に関する後ろ向きコホート研究(その1)─措置解除された患者の長期転帰に影響する因子について─ 瀬戸 秀文・他
措置入院となった精神障害者の治療転帰に関する後ろ向きコホート研究(その2)─措置入院患者の退院後の死亡リスクに関する検討─ 稲垣 中・他