臨床精神医学第54巻第7号
感染症診療の原則
電子書籍のみ

- 佐田 竜一(大阪大学)
- 発行日:2025年07月28日
- 〈抄録〉
精神科診療においても,感染症の予防・診断・治療は重要な課題である。特に高齢者や慢性疾患を有する患者,長期入院患者は感染症に対して脆弱であり,早期の対応が予後に直結する。本稿では,感染症診療の基本枠組みとして「感染症トライアングルモデル」を紹介し,患者背景・対象臓器・原因微生物を軸とした診療の思考過程を概説する。あわせて,精神科診療で遭遇しやすい感染症について,外来と病棟に分けて整理した。外来では,感染症が中枢神経に影響し精神症状を呈するケースや,HIV感染に伴う特殊な感染症によって精神状態が変容するケースがある。病棟では,COVID-19やインフルエンザ,ヒトメタニューモウイルスなど,飛沫・空気感染による集団感染が起こりやすく,他科病棟よりも注意が必要である。感染症への理解と初期対応は,精神症状の適切な鑑別と感染拡大防止の両面で極めて重要である。本稿が現場の診療に資することを願う。
詳細
Principles of infectious disease management in psychiatric practice
佐田 竜一*1,2,3,4
*1大阪大学大学院医学系研究科変革的感染制御システム開発学(日本財団)寄附講座
*2大阪大学医学部附属病院感染制御部
*3大阪大学医学部附属病院感染制御部感染症内科
*4公益財団法人天理よろづ相談所病院総合診療教育部