臨床精神医学第52巻第8号
精神科病院を作るということ─キャリア形成は自分の凸凹分析から─
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- 片山 成仁(成仁病院)
- 発行日:2023年08月28日
- キャリアパスは,個人個人の凸凹,つまり得意と不得意をふまえて選択し作っていくべきだ。研究,臨床,指導のバランスが取れていて団体行動が苦にならない人は,医局からスタートし教授を目指す道が合う。病院を新規に開設するなら,バランスが悪くても周りから浮きがちでもよいが,個性が必要だ。自分はたまたま,「自分の考えを筋道立てて説明できない」「演繹的に物事を考えられない」「文筆が苦手」「細かいことができない」などの凹と,「突飛な思いつきをする」「主張が強い」「危機的状況に興奮する」などの凸があったので,医局を早期に卒業し開業した後,病院を開設するに至った。病院運営においても,凸凹の認識は欠かせない。急性期専門病院である当院は,「仕事が忙しい」という凹と「給与が多い」「経験が積める」という凸を明確に打ち出しているので,この凸凹に合う人材,つまりやる気のある人材が沢山集まる。さらには,集まった人材一人ひとりにも異なる凸凹があることを前提とし,それをうまく組み合わせて業務を回すことを意識している。全員がオールマイティにはなれないし,なるべきでもないからだ。人を筆頭に,何にでも凸凹がある。キャリアパスを考える際に大事なのは,外に見えるステイタスではなく自分の内にある凸凹である。
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Establish a hospital–as a career formation based on one’s own strengths and weaknesses analysis
片山 成仁
医療法人社団成仁成仁病院