臨床精神医学第52巻第1号
子どものうつ病は見逃されているのか
電子書籍のみ
- 木本 啓太郎・他(東海大学)
- 発行日:2023年01月28日
- 〈抄録〉
歴史的にも,児童・青年期のうつ病は「見逃されてきた疾患」という表現が用いられることがある。過去には,児童・青年期のうつ病は成人と同様に扱われてこなかったが,操作的診断基準の出現により,児童・青年期においても成人の診断基準を満たすうつ病の存在が明らかになった。海外の大規模なメタアナリシスではうつ病の発症年齢のピークは15.5歳であり,14歳までに発症する割合は10.2%,18歳までに発症する割合は25.9%,25歳までに発症する割合は47.0%と報告されている。本邦においては,大規模な疫学調査が行われていないため,有病率を含めた一般人口における児童・青年期のうつ病の正確な把握はできていない。しかし,児童・青年期のうつ病がある一定数存在していることは明らかである。児童・青年期のうつ病の最も難しい部分は診断であると考えられ,本稿では児童・青年期にみられるうつ病の診断上のポイントや問題などについて概説する。
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Is depression in children and adolescents overlooked ?
木本 啓太郎 山本 賢司
東海大学医学部総合診療学系精神科学