臨床精神医学第52巻第1号
外来で使えるシンプルなうつ病の診立てと薬物療法
電子書籍のみ
- 白川 治(湊川病院)
- 発行日:2023年01月28日
- 〈抄録〉
抑うつが主症状で精神科を受療する患者は少なくないが,うつ病と診断する際には,病前のパーソナリティ,対人関係のありかた,社会適応度などを評価したうえで,うつ病発症の契機となった体験と患者の置かれた状況,患者がその体験をどう受け止めたかなどについて把握しておく必要がある。また,年齢・性によってうつ病発症に至る体験の内容が異なることを念頭に置きつつ,モノアミンの関与が年齢・性によって異なる可能性を考慮することも,抗うつ薬を選択するうえで参考となる。また,うつ病の経過・ステージによってもモノアミンの関与は変わる可能性があるが,なかなか回復に至らない場合,回復を阻害する心理社会的要因に着目することが必要である。抗うつ薬はうつ病からの回復の軌道に乗せるために必須であるとしても,長期的には生活史のなかにうつ病の発症・経過を位置づけるという治療的なかかわりが求められる。
詳細
Simple diagnosis and pharmacotherapy of depression for outpatients
白川 治
医療法人尚生会湊川病院精神科