臨床精神医学第51巻第10号
妄想性障害に併発した頭内爆発音症候群の1症例
電子書籍のみ
- 熊谷 亮(医療法人社団踏青会下総病院)
- 発行日:2022年10月28日
- 〈抄録〉
妄想性障害に頭内爆発音症候群を併発し,妄想との鑑別や薬物療法を必要とした症例を経験したため,ここに報告する。症例は他国出身の44歳女性で,来日後に異文化ストレスから被害妄想を呈するようになった。薬物療法で症状は軽快していたが,経過中に「夜中に階下の住人が大音を立てる」と訴えるようになり不穏となった。大音がする時間帯や状況を確認したところ,頭内爆発音症候群が疑われたが,周囲からの説明を受け入れることができなかったため,薬物療法を必要とした。クロナゼパムを処方したところ改善が得られ,以降は問題なく経過している。本症例のように,精神病症状を疑わせる訴えのなかに同症候群が隠れていないか留意する必要がある。
詳細
A case of exploding head syndrome in a patient with delusional disorder
熊谷 亮
医療法人社団踏青会下総病院