肝胆膵第83巻第4号
自然免疫反応からみた自己免疫性膵炎・IgG4関連疾患の血清バイオマーカー:IFN-α・IL-33
電子書籍のみ
- 原 茜,他(近畿大学)
- 発行日:2021年10月28日
- 〈要旨〉
自己免疫性膵炎は1型と2型に大別され,1型自己免疫性膵炎はIgG4関連疾患の膵病変と考えられている.IgG4関連疾患は,IgG4陽性形質細胞の罹患臓器への浸潤を特徴とする全身性疾患であり,獲得免疫反応であるIgG4産生反応の亢進を免疫学的特徴とする.1型自己免疫性膵炎・IgG4関連疾患における血清バイオマーカーとしてIgG4が広く用いられているが,血清IgG4が正常範囲内または軽度上昇にとどまる症例も少なからずある.最近,われわれは自己免疫性膵炎モデルマウスおよび1型自己免疫性膵炎・IgG4関連疾患患者における自然免疫反応に重点を置いた解析を行い,形質細胞様樹状細胞(pDCs)の活性化とpDCsが産生するサイトカインIFN-α・IL-33がその病態生理に深く関わることを見いだした.さらに,血清IFN-α・IL-33が診断および疾患活動性のバイオマーカーとしてIgG4と同等に有用であることを見いだしており,臨床での活用が期待される.
詳細
Identification of serum biomarkers for autoimmune pancreatitis and IgG4-related disease: IFN-αand IL-33
原 茜 三長 孝輔 吉川 智恵 鎌田 研 渡邉 智裕 工藤 正俊
近畿大学医学部消化器内科学