肝胆膵第83巻第4号
肝癌のctDNA解析とバイオマーカーとしての意義
電子書籍のみ
- 中川 勇人，他（東京大学）
- 発行日：2021年10月28日
- 〈要旨〉
近年，肝細胞癌に対してさまざまな分子標的治療薬が新たに保険適用となり，治療選択肢が広がりつつある．しかし，他癌腫ではゲノム異常に基づいて治療薬を選択する，いわゆるプレシジョンメディシンの構築が進みつつあるが，肝細胞癌では非常に遅れている．そこにはさまざまな理由があるが，肝細胞癌は多クローン性であることが多く1か所の組織から採取したDNAでは全体を反映していない可能性があり，また生検に伴う侵襲が大きいことなどがあげられる．これらの問題を克服するDNAソースとして，腫瘍由来循環DNA（ctDNA）が注目されている．本稿では肝細胞癌のバイオマーカーとしてのctDNA解析について，自らの研究成果と合わせて概説する．
詳細
Circulating tumor DNA as a biomarker for hepatocellular carcinoma
中川 勇人 中塚 拓馬
東京大学消化器内科